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建設業許可(許可概要・実務上の必要性・大臣許可と知事許可)

 

仙台行政書士法人では会社設立についてご相談を承っております。

 

ご相談を受ける業種はその年によって変わってきますが、常に一定数有るのが建設業者様の会社設立のご相談です。

 

建設業の法人設立で一緒に相談を受ける機会が多いのが「建設業許可」の取得です。

 

ご相談に来られる方は自身で建設業を長年営んでいた方が多く、建設業許可に関する情報をお持ちの方は多いのですが、かなり前の情報を元にしているため、簡単に許可を取れそうに思っている方もいらっしゃいます。

 

しかし、現在、建設業許可を取得するにはたくさんの要件を満たさなければならず、許可の要件を維持するのもかなりの労力を要します。

 

もちろん建設業許可を取れば受注する仕事の幅(特に金額面)も広がり社会的信用度も上がります。

 

注意すべきは建設業許可を取ることをゴールにしてしまうことです。

 

許可取得後、要件を維持する大変さで経営者の時間や経営資源を奪ってしまいかねません。建設業許可取得をお考えの方は許可を取得するに当たり何が必要で、その後はどのような事が起こるのかを知っておく必要が有ります。

 

そこで、ブログを全4回に分け建設業許可の概要~取得更に取得後の手続・更新について書きたいと思います。1回目は建設業許可の許可の概要についてお話しします。

 

1.建設業許可制度とは?

以下、国土交通省のホームぺ―ジ「建設業の許可とは」から抜粋

建設工事の完成を請け負うことを営業するには、その工事が公共工事であるか民間工事であるかを問わず、建設業法第3条に基づき建設業の許可を受けなければなりません。

 

ただし、「軽微な建設工事」のみを請け負って営業する場合には、必ずしも建設業の許可を受けなくてもよいこととされています。では、軽微な工事とはなんでしょう?

 

建築一式工事:1500万円未満又は延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事

建築一式工事以外:工事1件の請負代金の額が500万円未満の工事

 

とされています。そこでよく「1現場で工事代金を分割して契約し500万円未満にすれば許可は要らないですよね?」と質問を受ける場合があります。

 

この場合、工事1件の考え方を1現場と考えて頂けると分かり易くなります。

 

例えば新築アパートの現場で10部屋分の内装工事を請けたとします。1部屋当たり50万円の見積(材料費含む)として、最初の月に5部屋分250万円、次の月に残額と分けても1工事と見なされこの例の場合は500万円となります。

 

*消費税を含んだ金額で500万円未満か否かを判断します。また、材料を提供される場合は提供された材料を概算で計算し請け負った工事代金と見なされてしまいます。

 

2.特定建設業許可と一般建設業許可

特定建設業とは発注者から直接請け負った1件の工事代金について、4,000万円(建築工事業の場合は6,000万円)以上となる下請契約を締結する場合を指します。これは元請け業者が下請け業者に対して依頼する額になります。

 

逆に言えば例え元請けでも自社の職人さんが多く在籍し受注した工事を自社で施工する割合が多い会社、下請け契約をそれ程しない会社であれば一般建設業許可となります。

 

「下請けの仕事しかしない、元請けの仕事も一式工事はしない」という方針であれば同じく一般建設業許可です。

 

3.業種別許可制(29分類)

一式工事
・土木工事一式
・建築工事一式

専門工事
・大工工事業
・左官工事業
・とび・土工工事業
・石工事業
・屋根工事業
・電気工事業
・管工事業
・タイル・れんが・ブロック工事業
・鋼構造物工事業
・鉄筋工事業
・舗装工事業
・しゅんせつ工事業
・板金工事業
・ガラス工事業
・塗装工事業
・防水工事業
・内装仕上工事業
・機械器具設置工事業
・熱絶縁工事業
・電気通信工事業
・造園工事業
・さく井工事業
・建具工事業
・水道施設工事業
・消防施設工事業
・清掃施設工事業
・解体工事業

 

工事の種類毎に許可を取ることができます。また、自社がどの工事を請け負うか、今後請け負う予定が有るかを含めて許可取得の準備をする必要が有ります。

 

例えば塗装工事業を主に営んでいる会社が防水工事も一緒に受けており今後マンションの大規模修繕など大掛かりな工事を請け負う可能性が有れば2種類の許可を取っておく必要があるでしょう。

 

注意がすべきが「一式」という表現です。建築工事一式の免許を持っていれば内装の工事も出来そうですが、実際は内装仕上工事業の免許が必要です。

 

4.許可の有効期間

有効期間は5年間です。5年ごとに許可の更新が必要です。引き続き許可を受けて営業する場合には更新の申請を行います。

 

5.大臣許可と知事許可

例えば事務所が宮城県内のみなら宮城県知事許可になります。隣りの福島県内で事務所を構え契約も行うことがあれば2県に跨るので国土交通大臣の許可が必要です。

 

では、土木工事一式について宮城県知事許可の会社が山形県の土木工事について半年ほど職人を派遣していたという場合ではどうでしょう?この場合には大臣許可の免許は要りません。

 

6.実務上の必要性

上記1でお話しした通り1現場の規模が大きくなり、請負額が500万円を超える仕事を今後受注する可能性が有れば許可を取得した方が良いでしょう。

 

また、元請けから取引を続けるために建設業許可を取得して欲しいと言われ必要となるケースもあります。

 

その他、大規模自然災害が起きて復旧が進んでいくと大規模な工事が増え必要になることも有ります。

 

実際に東日本大震災の2~3年後に建設業許可の相談依頼が急増したこともありました。

 

文章の始めに書いた通り許可取得のハードルは決して低くないので無理に取得する事はお奨めしません。しかし、近い将来規模の大きい工事を請け負う可能性が高い場合は建設業許可取得の準備を進めるべきでしょう。

 

7.取得スケジュール

1各種書類が全部準備ができた
2知事許可なら県の土木事務所、大臣許可なら国土交通省地方整備局に提出
3審査:知事許可なら概ね1か月、大臣許可なら概ね3~4か月

 

*ただし、あくまでも目安です。期間についてはお約束できません。

 

 

建設業許可の実務で一番時間が掛かるのが1の「各種書類が全部準備ができた」の更に前の段階です。次回のお話しはこの書類の準備を含む建設業許可の要件についてお話ししたいと思います。


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