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仙台行政書士法人のブログをご覧頂き誠にありがとうございます。
今月は週1回ペースで「業種別の創業」をテーマに必要な許可や免許と絡めて概要を書きたいと思います。今回のテーマは「農業」です。前回のテーマ「飲食業」と比べると農業に関係する手続き・許可は非常にシンプルです。特有のものは農地を取得するための許可に絞られます。しかし、農業経験の無い人が「農地を買います」又は「農地を貸してください」と言っても許可は下りません。今回は主にこの農地取得についてブログを書きます。
例えば個人の農家、農業法人、農地所有適格法人(旧:農業生産法人)に雇われる場合は一般企業の就職と何ら変わりません。また、農産物を販売する、農産物の加工、加工品の販売、農家レストランの経営等の農業に付随する事業で個人事業の開業や法人設立をする場合も一般の開業方法と変わりません。農作業を受託、例えば育苗・苗植え・整地・収穫等の作業部分を受託する場合も同様です。
文頭に書いた通り農地を取得する又は借りる以外には特別な手続きは有りません。
もちろん、どの事業にも共通する税務署・社会保険事務所や自治体等の手続は必要です。
農地は「農地法」という法律でその取引や農地以外の転用を規制しています。しかも、勝手に農地を宅地や商用地等に転用すると、その契約は無効になり罰金・懲役等の実刑に処される場合も有りかなり厳しい法律です。法人が違法な農地転用を行った場合は、1億円以下の罰金と個人よりも厳罰化しておりますので特に注意しましょう!
ここまで厳しいのは日本には農地に適した平地が少ないこと。平地は都市開発や商業・工業等のにとっても利便性が良くこれらを優先してしまうと農地の面積がドンドン減少してしまう恐れが有り、食料自給率が減少すると国の安全保障にも悪影響になることが背景に有るからです。
農業を始めるために他人から農地を購入したり譲受て名義を変える(所有権の移転)をする場合、農地を借りる場合は農業委員会から許可を得る必要が有ります。土地が収容された場合や相続で農地の権利を得た場合は不要です。また、農地法には農地転用、権利の変更に関する条項が他にも有りますが、農地を別の目的に変更する場合の規定にてここでは省略します。
農地法第3条の許可を得る要件として4つの要件を満たす必要が有ります。*仙台市ホームページから抜粋
【すべて効率利用要件】
所有している農地または借りている農地のすべてを効率的に耕作すること
【農作業常時従事要件】
農地の取得者が、必要な農作業に常時従事(原則年間150日以上)すること
【下限面積要件】
農地取得後の農地面積の合計が、原則50a以上であることが必要(50a=5000㎡)
*ただし、50aの要件については地域毎に異なります。詳しくは農地(予定含む)を管轄する農業委員会へお問合せください。
【地域との調和要件】
周辺の農地利用に支障がないこと。例えば水利の整備、農薬の使用について周囲の農地に悪影響を及ぼさない等
農地所有適格法人(旧:農業生産法人)は法人名義で農地の取得が可能な法人形態です。設立自体は通常の株式会社設立と変わりませんが、法人を構成する役員や議決権の内容に十分注意が必要です。
農地所有適格法人と成るためには
【法人形態】株式会社(公開会社でないもの)、農事組合法人、持分会社
【事業内容】主たる事業が農業(自ら生産した農産物の加工・販売等の関連事業を含む)。*売上高の過半が農業関連で有ること。新規設立法人の場合は事業計画で判断。
【議決権】農業関係者が総議決権の過半を占めること。
【役員】 役員の過半が農業に常時従事する構成員であること・役員又は重要な使用人が1人以上農作業に従事すること。
議決権と役員に農業関係者を一定数以上組みこませることを求めていることが大きな特徴です。また、農地所有適格法人は法人として農地を取得することが一番の目的ですので、事前に農地(取得予定含む)を管轄する農業委員会にこれから農地取得をしたいことと設立する旨を伝え相談をしておくことも重要です。
農業法人との違い
農作業の受託、農産物の加工や販売、農業経営に関連する事業を営む法人の呼称です。何かしらの法律に規定された法人形態ではありません。
農地でない土地を農地に開墾する場合
山林など農地以外の土地を取得した上で、農地に開墾する場合には農地法の許可の対象外であり、所有・貸借ともに農業参入は可能です。
農地所有適格法人報告書の提出
農地所有適格法人が農地を取得し所有している場合、毎年農業員会に報告書を提出しなければなりません。
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